2008年7月16日水曜日

新しい文字が生まれる時。


 新しい文字が生まれる瞬間とはこんなものなのだろうか。
 薄田泣菫の「白羊宮」を読んでいるとき、このような表記に出くわした。
「イモリ」は漢語では「蠑螈」と書く。

 おそらく版元は何らかの理由で「螈」を作字せざるを得ないとき、「源」の右側と「虫偏」を組み合わせようとしたのではないか。
 しかし、原の字は左下に払いが伸びるので、左上の「さんずい」の名残が残り、結果として、虫偏に「源」という字が作られてしまった・・・そういう想像をしている。

 この詩集は金尾文淵堂による初版以来、幾つかの叢書に再録されているので、
各々がこの字をどのように取り扱ったのか、追跡してみるのも面白いかも知れない。

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